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「軽量だから速い。速いから勝てる」―CVPR優勝チームの機械学習エンジニアに聞く

Superb AI Japan
2026/06/24 | 7 min read

要点
- Superb AIは、CVPR 2026 Foundational Few-Shotオブジェクト検出チャレンジのOverall Trackで1位を獲得しました。優勝チームの機械学習エンジニア、コ・ギョンリョル(Kyeongryeol Go)氏に、優勝までの道のりを聞きました。
- 昨年は4位、今年は1位。最大の転換点は、事前学習性能の検証から、「このモデルを産業の現場でいかに活用するか」へと焦点を移したことでした。
- 限られた期間に集中して取り組み、優勝を実現できた背景には、ZEROの軽量な設計がありました。モデルが軽量であるほど実験サイクルは速くなり、同じ時間でより多くの仮説を検証できるからです。
- AIアシスタントを研究プロセスに積極的に取り入れる「AIでAIをつくる」というR&D文化も、重要な役割を果たしました。
2026年6月4日(現地時間)、米国コロラド州デンバーで開催されたCVPR 2026 Open-World Vision(VPLOW)ワークショップにおいて、Superb AIがFoundational Few-Shotオブジェクト検出チャレンジ Overall Trackの優勝チームとして発表されました。
本チャレンジには17チームから200件を超える提出がありました。Superb AIにとって今回の結果は、わずか1年で4位から1位へと躍進したことを意味します。
この1年で何が変わったのか。優勝チームの機械学習エンジニア、コ・ギョンリョル氏に話を聞きました。今回のチャレンジには、コ・ギョンリョル(Kyeongryeol Go)氏とともに、チン・ヒョンドン(Hyundong Jin)、チャン・テウン(Taewoong Jang)、チェ・ウソン(Wooseong Choi)の各エンジニアが参加しました。

(CVPR 2026チャレンジで優勝したSuperb AIチーム)
「昨年は基礎力を、今年は仕組みを」
Q. Superb AIは昨年の4位から今年は1位になりました。この12か月で何が変わったのでしょうか。
「モデルも方法論も向上しましたが、決定的な違いは、取り組みの焦点を変えたことでした。
昨年は、ZEROが発表されて間もない時期だったため、私たちの最大の関心は事前学習性能そのものにありました。『ZEROの基礎力がどこまで通用するのか』を確認することが目標で、ファインチューニングも実質的にはほぼデフォルト設定でした。
今年は、問いを変えました。『このモデルを、産業の現場でいかに実用的に活用するか』です。
20のドメインすべてのデータを一つひとつ精査し、ZEROを各ドメインに迅速かつ効率的に適応させる仕組みの構築に注力しました。チャレンジ終了後も顧客プロジェクトで活用できる、拡張性の高いモジュールをつくろうと考えたのです。
その視点の違いが、最終的にスコアの差につながったと考えています」

「モデルが軽ければ、実験は速くなる。実験が速ければ、勝てる」
Q. チャレンジの準備で最も難しかった点は何でしたか。
「時間です。
ほかのプロジェクトと並行してチャレンジを準備する必要があったため、割ける時間は極めて限られていました。その条件のもとで結果を出すには、実験サイクルを可能な限り速く回すしかありませんでした。
それが可能だった第一の理由は、ZEROがほかの基盤モデルと比べて相対的に軽量であることです。
適切な設定を見つけるには、仮説を立て、実験を行い、結果を確認し、次の仮説を立てるというサイクルを何度も繰り返す必要があります。もしモデルが大幅に重ければ、同じ期間に実行できる実験の数は数分の一にまで減っていたでしょう。
モデルが軽いから実験を速く回せる。実験が速いから、より多くの仮説を検証できる。そこに構造的な優位性がありました」
Q. ZEROの軽量な設計が大きな役割を果たしたようですね。これは当初から意図されたものだったのでしょうか。
「ZEROの軽量設計は、チャレンジを目的としたものではありません。当初から、顧客環境への導入を前提として下した設計上の判断でした。
産業現場の多くは、極めて大規模なモデルを動かすために必要なインフラを備えていません。たとえ備えていたとしても、コストが導入の大きな障壁になることが少なくありません。そのため私たちは、現場に導入できる軽量性を、モデルの中核要件の一つとしてきました。
もともと産業現場を見据えて下した設計上の判断が、チャレンジという時間的制約のもとで、そのまま優位性として機能したのです。
私たちにとって、これは優勝そのものと同じくらい意味のある検証でした。現場を見据えた設計が、最終的に研究上の競争力につながったからです。
受賞ソリューションも、同じ思想に基づいています。一部のチームは結果の補正に極めて大規模なモデルを用いましたが、私たちは軽量で拡張性の高い再分類モジュールを独自に開発しました。
重要だったのは、可能な限り大きなモデルを投入することではありません。現場へ迅速かつ効率的に適応できる手法を設計することでした。
ZEROの効率性によって、限られた期間でも複数の仮説を素早く検証し、最適な組み合わせを見いだすことができました」

「AIでAIをつくる」
Q. 限られたスケジュールを乗り越えるうえで、ほかに役立ったものはありましたか。
「AIアシスタントを積極的に活用しました。
特に、実験コードの作成や、夜間に実験を自動実行する仕組みの構築に大いに役立ちました。チームが眠っている間も検証が進むため、1日に実行できる実験の密度が大きく変わります。AIをつくる仕事そのものをAIとともに進めることが、私たちのチームでは自然な働き方になっています。
もう一つの要因は、チームそのものです。4名でチャレンジに取り組みましたが、同僚たちの支えがなければ、このスケジュールで実現することはできなかったでしょう」
「次の問いは、すでに明確でした」
Q. 優勝が確定した瞬間、どのように感じましたか。
「率直にうれしく思いました。しかし同時に、もう一つの問いがすぐに頭に浮かびました。
チャレンジを通じて検証したこの適応の仕組みを、いかに製品へ、そして顧客環境へと展開するか、ということです。
私たちにとって、チャレンジは目的地ではありません。自分たちの成果を外部で検証するための場です。本当の評価は、顧客の生産ラインで行われると考えています」
Q. 最後に、同じ道を志すエンジニアに向けて、ひとことお願いします。
「ベンチマークスコアと現場での価値が、別々の目標として扱われている研究は少なくありません。
しかし私たちは、その二つを同じ問題として解決できる環境で働いています。研究が製品となり、製品を通じて培われた知見が再び研究へと還流する。そのような循環です。
その循環を私たちとともにつくりたいという方を、いつでも歓迎します」
Superb AIのCVPRでの成果と、受賞ソリューションの技術的な詳細については、以下のコンテンツをご覧ください。
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