技術
Superb AI、韓国政府主導「独自AI基盤モデル開発プロジェクト」第1フェーズで成果を達成(ロボットデータ108万フレーム)

Superb AI Japan
2026/02/06 | 10 min read
![[韓国国家AI基盤モデル・プロジェクト]Superb AI フェーズ1成果 : 韓国特化ロボットデータ 108万フレームを確保](https://cdn.sanity.io/images/31qskqlc/production/62aec5e3e5e2786e8c25625c54d1054a4444f7d8-2000x1125.png?fit=max&auto=format)
2025年を起点に、AIの潮流は画面内の知能を超え、現実世界と相互作用できる「フィジカルAI(Physical AI)」の時代へと急速に移行しています。技術の中核は、デジタル環境における言語理解から、物理世界を理解し、そこで行動する能力へと移りつつあります。
では、ロボットが「食器洗いをして」といった依頼を理解し、実行するためには何が必要でしょうか。音声をテキストとして理解するだけでは不十分です。複雑なキッチンでシンクの位置を見つけ、割れやすいグラスと重い鍋を見分け、蛇口をどれくらい回せば適切な水量になるかを視覚的に判断し、実際に物理的に操作できなければなりません。
高品質なビジョンデータ、特に3次元空間と深度を捉えるデータは、世界的に見ても依然として不足しています。さらに限られているのが、日常の住環境や生活様式といった「特定の国や地域に固有の条件」を反映した公開データです。
Superb AIが取り組んでいるのは、まさにこのデータのボトルネックを解消し、韓国の独自ファウンデーションモデルをグローバル水準へ引き上げることです。Superb AIはVision-Language-Action(VLA)モデル向けの高品質な学習データを供給し、大規模AIがテキストを超えて視覚コンテキストを正確に理解し、最終的には実世界で行動できるロボットへ搭載されることを可能にします。
本記事では、韓国政府が推進する「独自AI基盤モデル開発プロジェクト」における第1フェーズで、Superb AIが達成した主要成果を、「何を/なぜ/どうやって」の観点から整理します。
TL;DR — Superb AIの第1フェーズ主要成果
- 韓国の住環境50か所からRGB-D 108万フレーム(生データ)を収集しました。
- 学習・検証に使える形として30万フレームをモデル学習用アセット(加工データ)として資産化しました。
- 17台のマルチビューカメラリグと、3種類の視点(角度)の統合により、ロボット学習に必要なシーン情報を単一データセットに集約しました。
1. 韓国の住環境から「意味のある」108万フレームを収集
YouTubeでロボット動画を見たことはありますか。広いアイランドキッチンで料理をするロボットは印象的ですが、韓国の集合住宅に多いコンパクトなL字型(コーナー型)のキッチンや、家電が詰まった狭いユーティリティルームでも同じように動けるでしょうか。
「独自AI基盤モデル開発プロジェクト」第1フェーズにおいて、Superb AIは韓国の一般家庭50世帯をリクルートし、韓国の実際の生活環境に合わせたデータセットを構築しました。
- 🎥 17台のカメラを同時撮影: これは単なる「撮影」ではありません。ロボットの3次元視野を忠実に再現するため、Superb AIは17台のGoProをタイムコード同期(Timecode Sync)技術で同期し、同時に収録しました。15台のカメラは空間全体を捉える第三者視点を担当し、残り2台はロボットの視点に相当する一人称視点と3Dスキャンを担当しました。これにより、2D映像を3D空間情報へ再構成できるようにしました。

(カメラセットアップ例)

(カメラセットアップ例)
- 🏠 150種類の家事タスクシナリオを定義: Superb AIは、料理、食器洗い、洗濯物を畳む、片付けなど、家庭内でロボットが担うべき150の行動を定義しました。そして、約7,500の状況を演出し、大規模データを確保しました。
2. 「見る」から「理解する」へ
Superb AIの強みは、データを大量に集めることにとどまりません。AIがこのデータを通じて世界を推論(Reasoning)できるように、データを賢く加工することが中核です。
視覚的推論(Visual Reasoning)
Superb AIは、「人がコップを持った」といった単純な説明ではなく、文脈と因果関係を含む詳細なキャプションを付与しました。たとえば、「水を飲むために(意図)、右手で透明なガラスカップの取っ手を握った(具体行動)」といった形です。これによりAIは、何が起きたかだけでなく、なぜ起きたのかまで学習し、人の意図を推定できるようになります。

(Superb AIのデータラベリング・キャプション例)

(一人称視点の深度マップをバイナリ可視化した例)
2つのコア視点にフォーカス
ロボットが家庭内で自然に動くために、Superb AIは必要な視点を「空間を理解するための目」と「操作のための目」の2つに分けて設計しました。第1フェーズでは、この2つの視点に関する高品質データを重点的に構築しました。
空間全体を見る目(3-view integration)
複数台のカメラで環境全体を同時に捉えることで、部屋のレイアウト、動線、物体同士の関係といったシーン文脈を学習できるようにします。これはロボットが「どこに何があるか」を把握するための基盤になります。
手元を見る目(egocentric)
ロボットが物体をつかんで移動させる瞬間には、全体シーンよりも「いまつかもうとしている物体」が重要になります。一人称のステレオ視点を用いることで、手と物体の距離、角度、深度といった微細操作に必要な情報を学習できるようにします。
この2つの視点が組み合わさることで、ロボットは全体文脈を維持しつつ、操作の瞬間には必要なディテールを取りこぼさない形で行動計画を立てられるようになります。
3. フィジカルAIにおけるSuperb AI独自の技術的競争力
「独自AI基盤モデル開発プロジェクト」第1フェーズで実証されたSuperb AIのフィジカルAI競争力は、4つの強みに集約できます。
ハイブリッド・データ設計
Superb AIは、制御環境で精密に撮影した高品質スタジオデータと、実際の家庭の複雑で雑然とした環境を捉えたクラウドソーシングデータを戦略的に組み合わせます。これは、ロボットがきれいな実験室だけでなく、子どもが走り回り生活用品が積み上がる現実の家庭でも、安定して動作できるようにするための鍵です。
4億フレームから30万の高価値アセットへ
簡易計算でも、ロボット学習に必要なデータ量の規模は圧倒的です。50の家庭環境で150の行動が実行され、それを15台のカメラで撮影すると、合計は約4億フレームに達します。
しかし、このすべてを人手でレビューしラベリングすることは、ほぼ不可能であり非効率です。ここで重要な役割を果たしたのが、Superb AIのAuto-Curate技術です。
- Step 1(4億 → 100万) 情報価値の低い反復・静止区間を除去し、学習価値のある1.08百万フレームの生データを確保しました。
- Step 2(100万 → 30万) 生データの中からさらに、モデル性能向上への寄与が最も大きい区間、すなわちモデルがつまずきやすいエッジケースと主要アクションシーンを再選別しました。
結果として、約4億フレームを30万の高精度な学習アセットへと凝縮しました。これは単に作業を高速化するだけではありません。データ構築コストを大幅に削減し、学習効率を最大化する、Superb AIならではのデータパイプライン競争力です。
品質管理
データ品質は、そのままAIの知能を左右します。Superb AIは、単に量が多いだけではなく、ロボティクス用途として有効で信頼できるデータを作るために、厳格な品質管理を適用しています。
- Stage 1(ラベラー): ラベリングガイドライン遵守の確認を行います。
- Stage 2(専門レビュアー): 経験豊富な専門家がラベリング精度と一貫性をクロス検証します。
セキュリティと信頼
Superb AIは、ISO 27001およびSOC 2 Type IIを含む、グローバルで認知されたセキュリティ認証を取得しています。すべてのデータは厳格な同意手続きを経て収集され、顔などの機微情報は自動モザイク処理を含む非識別化(de-identification)により安全に保護されます。
第1フェーズの成果と、次に進む方向性
「独自AI基盤モデル開発プロジェクト」におけるSuperb AIの第1フェーズの中核的成果は、韓国の住環境に特化した高品質ビジョンデータを確保し、実際のAI学習に利用できる資産へ転換した点にあります。Superb AIが構築した108万フレームの生データと30万フレームの加工データは、韓国のロボットAIが複雑な室内空間をより精密に認識するための基盤インフラとして機能します。
いまプロジェクトは、「シーン理解」を超え、物理世界と直接相互作用する新たな段階へ進んでいます。今後の技術高度化は、主に2つの方向で進む予定です。
- 高度な操作能力: 物体認識にとどまらず、取っ手の角度や重心などの物理特性を理解し、対象を正確につかみ制御できる能力を確立します。
- 行動ベースAI: 「喉が渇いた」のような抽象的命令を、「コップを探して水を注ぐ」といった具体的なタスク計画へ変換し、実行するためのマルチモーダル能力を強化します。
このロードマップに沿って、Superb AIは一人称視点データセットと、言語・行動を組み合わせたデータセットを大幅に拡充する計画です。そして、多様な環境変数の中でも誤差なく動作する堅牢なフィジカルAIモデルを完成させ、韓国AI技術の実質的な競争力を証明していきます。

Superb AIについて
Superb AIは、エンタープライズ向けのAIトレーニングデータプラットフォームであり、ML(機械学習)チームが組織内でトレーニングデータをより効果的に管理・提供できるよう、データ管理の新しいアプローチを提案しています。2018年に発表されたSuperb AI Suiteは、自動化、コラボレーション、プラグアンドプレイモジュールのユニークな組み合わせを提供し、多くのチームが高品質なトレーニングデータセットを準備する時間を大幅に短縮する手助けをしています。この変革を体験したい方は、今すぐ無料でご登録ください。

